ながはま0次予防コホート事業では、長浜市民1万人から集めた様々な健康情報、血液や尿の成分、環境・生活習慣の情報などを統合して解析することで、病気の原因や老化のメカニズムを解明し、「医学の発展」と「市民の健康づくり」に貢献することを目指しています。
従来、病気の予防は1次予防(病気にならないように気をつける)、2次予防(病気がひどくなる前に見つける)、3次予防(かかってしまった病気の悪化を防ぐ)の3段階で考えられていました。しかし、科学技術の発展によって、ヒトの体質(ゲノム)やごく僅かな血液成分の変化も測定できるようになったことから、病気になる遙か手前で先手を打って予防することも夢ではなくなりつつあります。このような従来の1次予防に先んじる予防を「0次予防」と名付け、その実現を目指し、2007年に長浜市長と京都大学医学研究科長が「0次予防健康づくり推進事業の共同実施に関する協定書」を締結しました。京都大学大学院医学研究科と長浜市、そして、長浜市民とが、産官学民連携で進めています。
体質の正体はゲノム。親から子へと受け継がれます。ゲノムはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4つの化学物質が30億個つながったものです。人によって少しずつ違う並び順(SNP)が、個人の体質を決めています。
ながはま0次予防コホート事業の主な活動の一つは「0次健診」です。0次予防コホート事業に参加された1万人の方に、5年に一度、人間ドックに匹敵する0次健診を受けていただきます。0次健診の結果は、参加された方の「自分自身の健康づくり」に役立ててもらうとともに「京都大学での研究」にも活用し、将来の0次予防の実現を通じて「子や孫の健康づくり」にも役立てることを目指しています。
ながはま0次予防コホート事業は2007年にスタートし、その後4年をかけて1万人の方に0次健診を受けていただきました。現在は第2期事業として、同じ1万人の方に2回目の0次健診を受けて頂いています。この間、脳卒中や心臓病など、日本人に多い疾患を患っていないか、病院での調査も進めています。
ながはま0次予防コホート事業では、市民の個人情報を厳格に守りつつ、研究者の自由な発想による研究を担保する目的で、独自に「ながはま0次予防コホート事業における試料等の蓄積及び管理運用に関するルール(ながはまルール)」を定め、さらに市の条例としています。対象者一人ひとりから事業への参加について同意を得ることはもちろんのこと、個人情報は二重に匿名化すること、事業の運営について京都大学(医の倫理委員会)と長浜市(事業審査会)とで二重にチェックすることなどを定めています。
ながはま0次予防コホート事業における
試料等の蓄積及び管理運用に関するルール
(通称:ながはまルール)