所 属 | ボルドー大学、ゲノム医学センター |
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氏 名 | Marie-Gabrielle Duperron, 松田 文彦ら |
発表日 | 2023-04-17 |
論文概要 | 脳の髄質動脈の周囲が拡大したものを血管周囲腔といい、強い血管拍動(高血圧)のほか、脳血液関門の障害や、アルツハイマー型認知症の原因物質として知られるアミロイドβタンパクの蓄積等によっても引き起こされます。この研究では、40,095人(96.9%がヨーロッパ系)を対象としたゲノムワイド関連研究を行い、24の遺伝子座が血管周囲腔の拡大と関係することを明らかにしました。これらの遺伝子座は、若年成人(22.1±2.3歳)においてすでに白質の血管周囲腔の拡大と関連しており、また、早期発症の白質ジストロフィー遺伝子や胎児期の脳内皮細胞に発現する遺伝子に富んでいたことから、早期発症にも関わるものとみられます。また、長浜コホート(N = 2,862、68.3±5.3年)においてもうち半数が有意な関連を示しており、人種によらないメカニズムの存在が示唆されました。メンデルランダム化の手法を用い、血圧を考慮した上で、高血圧が、大脳基底核および海馬の血管周囲腔の拡大に、また、大脳基底核および海馬の血管周囲腔の拡大が脳卒中の原因となることがわかりました。本研究によって脳小血管に起こる疾患の初期メカニズムの一端が解明され、今後の創薬の優先順位付けにも役立つと期待されます。 |
雑誌名 | Nature Medicine |
URL | 37069360 |