所 属 | ゲノム医学センター |
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氏 名 | 田原 康玄ら |
発表日 | 2024-01-26 |
論文概要 | アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の東アジア特異的変異(rs671、G>A)は、アルコール摂取の主要な遺伝的決定因子であることが知られています。具体的には、AA型はアルコールの分解によって生じるアセトアルデヒド(毒性が強い)の分解能力(無毒化)が極めて低いのですが、飲酒するとすぐ顔が真っ赤になったり気持ち悪くなったりすることから、この遺伝型を持つ方のほとんどは飲酒しません。中間のGA型とGG型は人によって飲む飲まないはまちまちですが、GA型はGG型に比べてアセトアルデヒドの分解能が低く、アセトアルデヒドの毒性にさらされることによる発症のリスクが高いとみられています。この研究では、飲酒行動の背後にあるrs671と他の遺伝子の間にどのような関係があるかを探索するために、175,672人の日本人を対象に、まずは、rs671の3つの遺伝子型ごとに、飲酒量と関係する遺伝因子を探索しました。解析の結果、rs671がGG型の集団では3つのゲノムワイドで有意な遺伝子座(GCKR、KLB、ADH1B)が、GA型の集団では6つの遺伝子座(GCKR、ADH1B、ALDH1B1、ALDH1A1、ALDH2、GOT2)が飲酒量と関係することが明らかになりました。さらに、発見された遺伝子座のうち4つ(GCKR、ADH1B、ALDH1A1、ALDH2)は、代表的なアルコール関連疾患である食道がんのリスクにおいて、rs671と交互作用することが示唆されました。 *交互作用とは、単に2つの遺伝子座のリスクの足し算だけではなく、掛け算のリスクも存在することを意味します。 |
雑誌名 | Science Advance |
URL | 38277453 |