所 属 | 京都大学 ゲノム医学センター |
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氏 名 | 田原 康玄 先生ら |
発表日 | 2017-02-01 |
論文概要 | 少量の飲酒はHDL(善玉)コレステロール値を高め、LDL(悪玉)コレステロール値を下げると言われてきました。しかし実際にアルコールが体内のコレステロールバランスにどのように働きかけているのかはその大部分がわかっておりません。そこで、ALDH2遺伝子の活性型*に着目し、お酒に強い体質と様々なコレステロール類との関係を調べました。 HDLコレステロールはその粒子のサイズによって細かく分類されますが、そのサイズに関わらずALDH2の活性型遺伝子を持つ人ほど高まる傾向がみられました。LDLコレステロールでは、大きなサイズのLDLコレステロールがALDH2の活性型遺伝子を持つ人ほど低くなる一方で、小さなサイズのLDLコレステロールは高くなる傾向がみられました。また、この小さなサイズのLDLコレステロールにみられた傾向は中性脂肪の代謝が関わっていることもわかりました。 *この遺伝子には活性型と不活型があり、不活型は日本人に多く見られ西洋人にはあまり見られません。このため、西洋人に比べ日本人ではお酒に弱い人が目立ちます。遺伝子は両親からひとつずつ受け継ぎますが、活性型と不活型を一つずつ受け継いだ人はお酒を飲むとすぐ赤くなりあまりお酒に強くありません。不活型を二つ受け取った場合はほとんどお酒を飲めません。このように、この遺伝子の変異パターンによってお酒を飲む頻度や量が決まります。 (原題)The causal effects of alcohol on lipoprotein subfraction and triglyceride levels using a Mendelian randomization analysis: The Nagahama study. |
雑誌名 | Atherosclerosis |
URL | 28038378 |