所 属 | 京都大学 呼吸器内科 |
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氏 名 | 松本 久子 先生ら |
発表日 | 2016-12-26 |
論文概要 | 成人喘息の原因は様々で、遺伝的素因を含めてまだよくわかっていません。小児喘息と同じ様に、中高年の方でもダニ、動物の皮屑、カビ、花粉などへのアレルギーがきっかけで喘息がおこることがあります。一方空気中を漂うアレルギーの原因物質(アレルゲン)がはっきりせずに、喘息がおこってくる人もいます。近年アレルゲンがないと判断される成人喘息患者さんの一部で、皮膚や鼻腔など体表に常在する黄色ブドウ球菌毒素がアレルゲンになっている可能性がわかってきました。 この研究では、近畿北陸気道疾患研究会(KiHAC)で登録された喘息患者さんとながはま0次コホート参加者において、黄色ブドウ球菌毒素へのアレルギーの有無を調べ、ロイコトリエン受容体1遺伝子多型との関係をみています。女性に限った検討ですが、喘息患者さんでは、ながはま0次コホート参加の方よりも黄色ブドウ球菌毒素がアレルゲンになっていることが多く、女性の喘息患者さんではロイコトリエン受容体1遺伝子の多型によって黄色ブドウ球菌毒素のアレルゲンになりやすさが違うことがわかりました。一方、ながはま0次コホート参加の方では、その関係はみられませんでした。遺伝的素因に加えて、喘息の様々な気道炎症により黄色ブドウ球菌毒素のアレルゲンになりやすさが変わるのだと推察されます。 ※ロイコトリエン: 体の中で作られアレルギーの引き金となる物質です。この物質を受け止め、体にアレルギーを起こすように命令を与えるのがロイコトリエン受容体で、ロイコトリエンとロイコトリエン受容体とがくっつかないようにする薬がアレルギーの薬として使われています。 (原題) Staphylococcus aureus enterotoxin sensitization involvement and its association with CysLTR1 variant in different asthma phenotypes |
雑誌名 | Annals of Allergy, Asthma & Immunology |
URL | 28034578 |