所 属 | 京都大学 眼科 |
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氏 名 | 亀井 拓郎 |
発表日 | 2025-04-30 |
論文概要 | この研究は、「網膜年齢ギャップ(retinal age gap)」という指標、すなわち深層学習モデルで予測された網膜年齢と実際の年齢との差を、全身性疾患との関連から探索したものです。対象は、ながはま0次コホート参加者の 6,070 名(解析群)で、まず他のコホートから得た健康な被験者 2,261 名を用いてモデルをファインチューニングし、その後解析群に適用しました。モデルの平均絶対誤差(MAE)は 3.00 ~ 3.42 年でした。交差断面解析では、この網膜年齢ギャップは糖尿病(β = 1.08, p < 0.001)および高脂血症(β = –0.67, p < 0.001)との有意な関連を示しました。一方で、縦断解析では、ベースラインの年齢ギャップが将来の疾患発症を予測する強い指標とは認められませんでした。ただし、高血圧・高脂血症の発症に対しては、網膜年齢ギャップの増加を伴う傾向が認められる可能性が示唆されました(それぞれ β = 0.35, p = 0.049/β = 0.34, p = 0.035)。これらの結果から、網膜年齢ギャップは糖尿病や脂質異常のような代謝性疾患との関係を反映するバイオマーカーとしての可能性を持つ一方で、将来発症予測にはさらなる検証が必要であることが示唆されます。 【原題】Association between the retinal age gap and systemic diseases in the Japanese population: the Nagahama study |
雑誌名 | Japanese Journal of Ophthalmology |
URL | 40304887 |