所 属 | 京都大学 眼科 |
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氏 名 | 森野 数哉 |
発表日 | 2024-11-01 |
論文概要 | この研究は、高度近視(強い近視)の患者に発症する「近視性黄斑新生血管(mMNV)」に関わる遺伝的な感受性因子を、大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いて探索したものです。解析対象には 2,783 名(うち mMNV 患者 608 名、対照 2,175 名)が含まれ、3 つの異なる遺伝子型データセット(Illumina ASA、610K チップ、全ゲノムシーケンス)を用いて年齢・性別・眼軸長などを調整したモデルで比較しました。その結果、rs56257842(TEX29-LINC02337 に位置) という SNP が mMNV の新規感受性遺伝子座として同定され(メタ解析オッズ比 ≒ 0.62, P = 4.63×10⁻⁸)し、異なるデータセットでも一貫して関連が認められました。加えて、転写因子バインディング能の予測分析では、変異アレルが特定の転写因子(ZNF740 や EGR1)の結合能を失わせつつ、WNT シグナル関連転写因子 ZBTB33 のバインディングを強める可能性が示されました。さらに、加齢黄斑変性(AMD)で知られる感受性座のうち、CETP に位置する SNP も mMNV に対して有意な関連を示し、あるいは一部共通の遺伝的リスクが存在する可能性も示唆されました。本研究は、近視性黄斑新生血管の発症リスクを予測する遺伝的マーカーの発見に貢献するとともに、mMNV と AMD との遺伝的なかかわりという視点から疾患のメカニズムの理解を深めます。 【原題】 Genome- wide Meta-analysis for Myopic Macular Neovascularization Identified a Novel Susceptibility Locus and Revealed a Shared Genetic Susceptibility with Age- Related Macular Degeneration |
雑誌名 | Ophthalmol Retina |
URL | 39489378 |